環境への取り組み

鉄道事業における環境保全活動とは、省エネルギー(電力)と、騒音・振動の低減、そして産業廃棄物の適切な処理などが挙げられます。ここでは当社グループの環境への取り組みを5項目に分けて解説します。

1. 車両の取り組み

当社では、省エネルギーや騒音・振動防止に優れた環境にやさしい車両(3000形)の導入を推進しています。

  • 電力を効率よく活用する省エネ車両
    <省エネ車両の導入>

    電車はモーターの回転数を変化させて速度を調整しています。これをつかさどる装置が制御装置です。従来型の装置に比べ効率よく制御することが可能なVVVFというシステムを搭載し、減速時にモーターで発電した電力を架線に戻す回生ブレーキを備えた省エネ車両を導入しています。(省エネ車両導入率:90.4%,2016年9月末現在)

    3000形車両
  • 車両を軽量化し、消費電力と騒音を低減
    <ステンレス車体等の導入>

    車両が軽くなると、より少ない電力で動かすことができ、かつ騒音・振動も低減されます。このため、ステンレス車体への置き換えをはじめ、パンタグラフのシングルアーム化など、車両の軽量化を図っています。

    シングルアーム パンタグラフ
  • フラット発生を抑え騒音を予防
    <滑走防止制御装置(ABS)の導入>

    ブレーキ時に発生するフラットと呼ばれる車輪の磨耗を低減すると共に、騒音低減、ブレーキ性能を向上させるために滑走防止制御装置(ABS)の導入を進めています。

  • カーブ通過時の騒音を低減
    <防音車輪の導入>

    電車がカーブを通過する時に、車輪の振動により発生するきしり音を低減するために、振動を吸収する素材(防音リング)が入った防音車輪を導入しています。

    防音車輪
  • オゾン層破壊を予防
    <空調冷媒の代替フロン化>

    オゾン層を破壊するフロンの使用をとりやめ、空調装置冷却触媒の代替フロン化を推進しています。

2. 線路の取り組み

鉄道騒音には、鉄橋や高架橋などが発する「構造物音」、車輪とレールの接触により発生する「転動音」、車両から発する「車両音」などがありますが、線路における環境対策では「転動音」の低減が大きなウェイトを占めています。

  • 電車走行時、および線路補修時の騒音を低減
    <線路補修、マルチプルタイタンパーの新車両導入>

    線路は列車が走行するたびに変形し、ゆがみが生じます。線路の砕石は列車荷重を支えるクッションの役割をしていますが、これが徐々に変形すると、騒音や振動の原因となる場合があります。そのため、マルチプルタイタンパー等により、砕石をつき固めて線路のゆがみを整正する保守作業を行っています。この作業は終電車後に行われるため、防音壁付きマルチプルタイタンパーを採用し、深夜の線路整備時の騒音低減を図っています。

    マルチプルタイタンパー
  • カーブ通過時の騒音を、塗液により低減
    <ソーラーシステムレール塗液装置の導入>

    カーブ通過時の金属振動音(きしり音)を低減するためにレール上に液剤を塗布していましたが、従来の足踏み式塗油装置では電車が装置を踏む「カタンカタン」という音と、塗液に油を利用していたため周辺環境への影響が懸念されていました。このため、ソーラーシステム塗液装置を導入し、電車の通過をセンサーで認識させるとともに、環境にやさしい水溶性の塗液に変更しています。また、電源供給もソーラーシステムでまかない省エネルギーにも貢献しています。

    ソーラーシステムレール塗液装置
  • その他の騒音・振動対策
    <レールの削正、ロングレール化>

    レールにゆがみが生じると発生する騒音も大きくなるので定期的にレール表面を平らにする削正作業を行っています。 また、電車がレールの継ぎ目を通過すると「ガタンガタン」という音とともに振動も発生しますが、京成電鉄では昭和50年代からロングレール化を進め継ぎ目を減らし、騒音・振動の低減に努めています。(ロングレール敷設率:94.5%(最小曲線400),2016年9月末現在)

    ロングレール伸縮継ぎ目
3. 鉄道周辺施設の取り組み

駅舎、橋梁、高架橋、地平部、法面などの鉄道周辺施設において、騒音や大気汚染への対策、地域の状況に応じた環境保全活動を行っています。

  • 再生可能エネルギーの使用
    <太陽光発電システムの設置>

    運輸部電車区(所在地:東京都葛飾区)に太陽光発電システムを導入・設置し、2009年3月より使用開始しております。この太陽光発電システムの導入は、当社では初の取り組みです。施設屋上に、太陽電池モジュールを84枚並べ稼動しております。最大約15.0kWの発電容量があり、発電された電気は、京成高砂駅コンコース等で利用しております。

    太陽光発電システム
  • 大気汚染防止に貢献
    <低VOC塗料の導入>

    大気汚染防止法の施行により工場におけるVOC塗料の規制が実施されていますが、 京成電鉄では対象外である屋外塗装工事(橋梁等)においても自主的に低VOC塗料を使用し、周辺環境への負荷を抑えています。
    ※VOCとは揮発性有機化合物のことで、浮遊粒子状物質(SPM)や光化学スモッグの原因となる有害物質

    低VOC塗装の隅田川橋梁
  • 高架橋における騒音・振動の低減
    <高架橋新設>

    鉄道の立体交差における高架橋新設工事にあたっては、騒音・振動対策として高架橋のコンクリート床板の上にゴム製のバラストマットを敷き、その上に砕石、枕木、レールを敷設し、騒音・振動の低減を図っています。

    砕石の下に敷設するバラストマット
  • 不忍池の水質浄化に貢献
    <上野駅の地下水導水>

    昭和8年の上野駅開業以来、地下水を不忍池に放流し、池の水質浄化に貢献しています(駅改良工事時期を除く)。1日の放水量は雨天などで異なるものの約300リットルあり、水質検査を年2回実施し地下水放流による環境への影響がないことを確認しています。なお、放流は地下水をポンプでくみ上げ、公園の高台に作られた小川(忍ぶ川)を経由して放流するルートと、不忍池へ直接放流するルートがあります。

    不忍池
4. 電力設備の取り組み

電力設備における環境への取り組みでは、 電力の効率的な利用による省エネルギーと、変電所設備等地球環境への配慮、使用物質の適正な処理、保管が重要なポイントとなっています。

  • 電力損失を減少し、省エネルギーに貢献
    <進相コンデンサの導入>

    電力会社から供給された電力は用途に応じて変圧し、 電車運転用、駅舎等電灯設備、信号設備などに利用しますが、この際、 電力の損失が発生します。そこで、進相コンデンサにより損失を解消し、 省エネルギーを実現しています。京成電鉄では18カ所ある変電設備のうち6カ所に進相コンデンサを導入しています。

    進相コンデンサ
  • 廃棄物の適切な保管
    <PCB含有設備の保管庫を構築>

    変電所等で使用されてきたPCB含有設備は、人体に有害であるため、PCB特別措置法に則り、気密性の高い保管庫内で適正に保管処理を進めています。

    PCB保管庫
  • オゾン層破壊を予防
    <シリコン整流器のノンフロン化>

    電車運転に使用する電気を交流から直流に変換するシリコン整流器で用いられている冷却触媒については、 機器更新時にフロンを使用しない純水冷媒機器を採用し、オゾン層破壊を予防しています。

    シリコン整流器
5. その他の取り組み

その他の取り組みとして「京成ホテルミラマーレ」の事例と、リサイクル封筒の利用、また 、ISO14001を認証取得したグループ会社を紹介します。

  • ホテルの省エネルギー化を推進
    <省エネの取り組み>

    京成ホテルミラマーレでは、電力、 水道の省エネルギーに取り組んでいます。 具体的には、厨房などの排水を浄化した中水を共用部分のトイレに利用しているほか、 空調の細やかな調節で節電を図っています。 また、厨房ではグリーストラップという装置を用い排水中の油分を除いてから排水し、 生ゴミを肥料として処理できるようにして廃棄しています。

    京成ホテルミラマーレ
  • 使用済み乗車券を社用封筒にリサイクル
    <リサイクルの取り組み>

    京成電鉄では、社内から出るゴミを分別し、 リサイクルを行っているほか、使用済みの乗車券を再利用した社用封筒を作成・使用しています。

    乗車券からリサイクルされた封筒
  • ISO14001 認証取得会社
    <グループ会社の取り組み>

    下記のグループ会社において、環境マネジメントシステムのISO14001を認証取得しています。
    ●京成ビルサービス株式会社(2008年12月取得)
    ●京成建設株式会社(2006年2月取得)
    ●京成電設工業株式会社(2005年12月取得)
    ●京成自動車工業株式会社(2005年8月取得)